首の痛みの原因
首は何キロもある頭をつねに支え、保持するという大変な仕事を担っています。基本的に首は細く、重要な神経や筋肉・骨もあり非常にデリケートな部分です。
ですから首は疲労しやすく、外力にも弱いのです。痛みや機能障害は比較的軽微な力や衝撃・負荷でも発生しやすいのです。
頚部の痛み(交通事故によるムチウチ損傷を含む)
ムチウチ損傷について:「whiplash injury」という名が1950年代、交通事故が多くなった米国で生まれました。この日本語訳が「むちうち」ですが、医学的には正式な病名ではありません。病名としては、「頚椎捻挫」「頚部挫傷」「外傷性頚部症候群」などが使われます。
首が強制的に前後に曲げられることにより、首の骨の周囲にある靭帯や神経根が引き伸ばされ、関節にはずれの力が加わります。この力により靭帯の部分断裂が起こり、周囲の組織に浮腫が出現します。多くの場合この変化はレントゲン写真やMRIなどの検査ではわかりません。もちろん、骨がはがれたりつぶれたり、関節がずれたりすれば別です。
症状は、首や背中の痛み、頭痛、吐き気やめまい、上肢のしびれなどです。事故に遭った直後はあまり痛みを感じないで、翌日に症状が出ることがよくあります。また長引くと頭が重い、目がつかれる、なんとなくだるい、腰が重いなどの自律神経失調でみられる症状があらわれることもあります。症状の程度や続く期間は、必ずしも事故の大きさと一致するものではありません。
当院での治療は、マッサージ・ストレッチ・電気治療など中心となりパップ剤の貼付、症状によってはカラーによる首の固定も行います。
交通事故では、「過失の割合」「相手との人間関係」「仕事や学業の問題」「補償問題」など、けがとは別の複雑な事情がからんできます。事故にあったときから、それまで経験したことのない解決しなければならないことが、いろいろ出てきます。また症状が長引いた場合、精神的に不安定になったり落込んだりすることもあります。自分で「治る」、「治す」という強い気持ちを持ちつづけることが大切です。
その他の頚部疾患
頚部椎間板ヘルニア、後縦靭帯骨化症、変形性頚椎症、神経根症、頚髄症etc(これらは病院などでMRI等各種検査が必要です。)頚部捻挫・挫傷、寝違い、筋筋膜炎による首から肩の痛み・張りetc
治療はムチウチ損傷に準じます。